真吾様
すずめファンタジーもハルキチファンタジーもウイルスに罹っているということは、真吾さんには２ヶ月前にご報告させていただきました。
私もこういう事態は最初からある程度予想していましたので、早速次の対応策をとることにしました。
名付けて、『ファンタジー救出大作戦』。
じつは多くの植物については、ウイルス病に罹ってもそれを直すウイルスフリー化の技術が確立されており、実際に農業分野では普通に用いられていることなのです。この技術のことを生長点培養と言います。
生長点培養とは何じゃ？ということなのですが、簡単に説明すると次のようなことです。
動物の場合と同じように、ウイルスは植物の体内に入った後に自己複製してどんどん増えていき、かなりの早さで全身に広がっていきます。
そうなるともう自然条件では直ることはありません。ひどい時には枯れてしまいます。
しかしウイルスも馬鹿ではありません。
自分が侵入した植物が枯れてしまっては自分も死んでしまいます。
だから進入した植物を殺さない程度に生かしておく方法をとるのが一般的です。
それで枯れずに葉や花が異常に育ったりする植物がたくさんでてくるわけです。
しかしウイルスに全身を侵されたと思われた植物の組織の中に、一箇所だけウイルスを寄せ付けない場所があるのです。
それが生長点です。
なぜ生長点がウイルスに侵されないかといいますと、新しい細胞が次々に生まれてくる場所だからです。
そのスピードがウイルスの増えるスピードよりも早いために、生長点だけはウイルスに侵されることはありません。まるでこんこんと湧き出でる泉のように綺麗な場所、それが生長点なのです。
そしてこの生長点を切除し、植物に必要な栄養成分とホルモンがバランスよく含まれた培地に置き、植物体にまで育つのを待つというわけです。
生長点はとても小さな組織です。小さく切除すればするほど、ウイルスに侵されている可能性は低くなるのですが、小さ過ぎると培地上で成長できなくなります。
逆に育ち易いように大きく切除すると、ウイルスに犯された組織まで一緒に培養してしまうことになり、ウイルスフリー化は失敗してしまいます。
こんな風に熟練を要する生長点培養ですが、これも私がやったのではなく、同僚の高梨信明が業務の合間にちょろっとやってくれました。
それでは１２月１４日に行った生長点培養の過程を写真でどうぞ。
まずは、すずめファンタジーから。
培地上の白く丸いものが生長点です。直径は０．５ミリメートルぐらいです。
これから芽が出てくるとは簡単には信じられないぐらいの大きさです。
約２週間後、組織の一部分が緑になってきました。順調に育っている証拠です。
さらに２週間後、緑の部分が伸びてきて、だいぶ葉らしくなりました。
そしてこれが今の様子です。
もうどこから見ても立派なフリージア。根も出てきました。
さて、お次はハルキチファンタジー。
ハルキチファンタジーはすずめファンタジーより遅れて球根が届きましたが、生長点培養は一緒に行いました。
これがハルキチファンタジーの生長点。
約４週間後。順調に育っています。
生長点培養は、すべてがうまく育つわけではありません。生長点の違いによって成長が早いものもあれば遅いものもあります。もちろんまったく育たずに枯れてしまうものあります。
最後の写真が今のハルキチファンタジー。
見てください！ この根の立派なこと！
絶対安静の集中治療室にいたすずめファンタジーもハルキチファンタジーも、今ではこうして一般病棟で過ごせる状態になっています。
しかしまだこれだけでは安心できません。ウイルスが完全に取り除かれて、完治したかどうかの検査がさらに必要なのです。したがって現時点では手術が成功したというだけで、病気が治ったとはいえない状況であることをご理解ください。
あんな小さな組織（生長点）がたった２ヶ月弱で再び葉を伸ばして育つ姿を見ると、植物を見慣れた私でも何か勇気付けられる気がします。
最後に、球根を受け取った際のBobさんのコメントを付け加えさせてください。
『ファンタジーはとてもウイルスに弱かったですから、
みなさんが見つけてくれたファンタジーを私は疑わしいと思っています。
でも、ひょっとしたらとも思いますし、とにかく楽しみです。』
キリンアグリバイオ 竹下大学
http://www.kanshin.com/user/takeshitadaigaku
すっすごい!!
デカ長スゴすぎ・・・。
先日見た映画『感染列島』にも似たようなセリフがあったのを思い出してしまいました。（こちらは人間のウィルスですけどね）
両ファンタジーの真偽は別として本物が見つかったらウィルスに負けないファンタジーが出来るって事なんでしょうか？そしたらもっとスゴイ事になりそうですね。
ためいきです！！
ただためいきです！！
これからまだまだ要観察！なのですね。
娘が１歳３ヶ月で心臓の手術をしたときの感動を思い出しました。
術後無菌室のような部屋に隔離して１０人のスタッフで見守って下さった時のような感動です。
竹下さんこんなにすばらしい世界を教えて戴きましてありがとうございます。
ひとつ教えて戴きたいことがあるのですが?？
ジョン・ゴーマンさんの時代にウイルスフリー化が確立されていたのでしょうか？
もし生長点培養が出来ていたのであれば「ダブルファンタジー」はどうなったのかなぁ？
と思いをはせてしまいます。
また新たな育種の世界を見せていただきました
いやぁ?スゴイです！
この培養されたファンタジーがウイルスに罹ってないとして
１００％安全な土に戻した場合
もう病気は発病しないのでしょうか？？？
あっ、それはわからないですよね
元気に育てている植物もダメになることあるし
となったら、培養に培養をかさねて
強いファンタジーを作っていけるのかな?
『ファンタジー救出大作戦』この作戦を続けて続けて
続けまくって１００年後１０００年後には
強いファンタジーが世界にあふれていたらいいな?
大学さんとキリンの素敵な仲間たちさん！
頑張って?
いっぱい応援してま?す！
すごい技術があるんですね。
はじめて知って感激しています。
・・・・・・・・・ぞくっ！
神聖な衝撃と感激でいっぱいです。
そして、そして何よりの頼もしさ！
名医の技には神が宿るとか・・・・
いのちの再生を目の当たりにしました。
息を止めて見入ってしまい、無事の完治と生還・成長を祈るのみです。
だいがくさま
本当にありがとうございます。
す、す、すごいです!!!
ウイルスに罹っているということは、
今後どうなっちゃうんだろう…と
心配をしておりましたが。
知らないこと、不思議なこと、
まだまだいっぱいあるんだ、と改めて思いました。
いや?、プロのスゴさにひたすら感動です。
竹下さま、キリンの皆様、ありがとうございます。
またまた凄いモノを見せていただいて・・言葉がありません・・
う?ん！！
凄い技術ですねぇ?！
ウイルスとの戦いの世界ですね。
竹下さんとお仲間の皆様に敬礼♪
またしても凄いプロの世界！
そして生命の逞しさに感動！o(TﾍTo)
デカ長、高梨さん、キリンアグリバイオの皆様、ありがとうございます。
宜しくお願いいたしますm(_ _"m)
うぉぉ?！！
これが「生長点培養」ですか！PLANTEDのトークショーでお話を
お聞きしたときに、『ピｨーン！』ときてましたよ?(*^ｰﾟ)v ﾌﾞｲ♪
しかし、生命の強さにはホント驚かされます。
『ファンタジー救出大作戦』、大成功を祈ります！
うぉー！ プロの技術！ 生長点培養ってクローン技術のようなものなのですか？ すごーい。ばいおてくのろじぃ?！ ウィルスフリーの健康な「ファンタジー」ができたら、ほんとにホントにすごいことですね。
竹下さん、前の記事のコメント欄で、質問に丁寧に答えていただき、ありがとうございました。
こんこんと湧き出る泉の様に綺麗な場所…
こんこんと湧き出る泉の様に綺麗な場所…
頭から離れない！
神秘です！
「神秘」に正面から向き合い挑戦なさる方々に大感動しました。
先月、知り合いのファンタジスタさんから、「うちの鉢はグレースがウイルスにやられやすいみたいで…」とメールを頂いて。
その方は「フリージアもタミフルみたいなワクチンがあればいいのに」とおっしゃっていました。
ほんとに?！と笑ってしまいました。
そしてさらにこのニュース！
植物本体の生きる力と手を組んだ、なんて素敵な技術…
こんこんと…
こんこんと…
人間みたい！
頭から離れない…
私は”ちょろっと”というところに、グッときてしまいました☆
世には色々なプロがいますが、たぶんこれは共通語なのでは！
私もある種のプロの端くれとして、どうなの？と。。。ちょっと点検してみようかと
”ちょろっと”。。。私の頭にはこれがくっ付いちゃいました＾ ＾；
生長点培養、すっごい小さな芽からすっごい大きくなって、
命の神秘というかたくましさに感動です！
ウイルスが心配だけどプロの技術に希望がわいてきます。
前から育種に興味があったので、ブログを見る楽しみがふえました。
ありがとうございます！
生長点培養について聞いたことはあったのですが、今までピンときていませんでした。
でも一気に、グッと引き寄せられました！
こんなにすごい技術だったんだ?！って。
竹下さん、キリンアグリバイオの皆さん、ありがとうございます。
こんこんと湧き出る泉のように綺麗な場所・・・私もこの言葉が頭から離れません。
生命の神秘ですね！
説明不足のところがありましたので、ここで補足させてください。
生長点培養は、ウイルスに罹ってしまった品種を元の健全な状態に戻す技術です。残念ながら、もともと病気に弱い品種を強くすることはできません。したがってファンタジーはウイルスに弱い品種のままだということになります。
ただファンタジーが変わらなくても、時代は変わりました。今ファンタジーが存在したら、昔よりずっと価値があります。そうしたのはこのファンタジスタの活動。ということは、ファンタジーを生産される方が、昔よりも他の品種よりもコストをかけて特別丁寧に栽培することができるようになったということなのです。
それからウイルスに罹っていない本来の姿を見れるということは、ジョン・ゴーマンさんが一番最初に見たファンタジーの花そのものを見れるということでもあるんですよ。ファンタジーが世に出た頃はまだ、フリージアでは生長点培養は用いられていませんでした。だからある時を境にして、ファンタジーの球根は多くは既にウイルスに罹ってしまっていたと考えるのが自然なのです。ファンタジーがカタログから姿を消したのは１５年前のことですが、ウイルスに罹っていない本物のファンタジーは、それよりもっと前に姿を消していたのではないかと、私は考えています。
ジョン・ゴーマンさんが見たそのままの姿のファンタジー。どれほどの美しさなんでしょうね。
竹下さん丁寧に説明していただきましてありがとうございます。
ウイルスに罹っていないダブルファンタジーを見ることはこんなに困難なことだとちょこっとわかりました。
生長点培養によって育てられている「すずめファンタジー」と「ハルキチファンタジー」がこれからどうなって行くのか楽しみにさせて戴きます。
奥深くてチンプンカンプンなのですがそれだけ奥深い「夢」を見させて戴く事が出来るのだと感じました。
ジョン・ゴーマンさんが見られたそのままの姿の美しさはどんなだっただろうとやはり思いをはせております。
本当に色々教えて戴きましてありがとうございます。
竹下さん、いつもすごい情報をありがとうございます。生長点培養なんてすごい。こんなに小さな生長点から芽がでて根っこがでるなんて、びっくり。大人になっても色々と知らない事だらけで日々勉強です。いつも色々と教えてくださってありがとうございます。
大学さん、またまた貴重なお話ありがとうございます。
なるほど、強くなることはないのですね。
ジョン・ゴーマンさんが見たそのままの姿のファンタジー
たしかにどれほどの美しさだったことでしょう。
それほどのファンタジーという花がこの世にあったということだけでも
笑顔になれます。
なんだか難しそうな話ですが、つくずくファンタジーとあーちゃんは似ているなぁと思います。
sueさんじゃないけど、あーちゃんもNICUからここまでたくさんのスペシャリストの方たちの力をもらってきているので！
４月にあーちゃんがどこまでファンタジーのように育ってくれるか楽しみです♪