2008年6月、育種家の竹下大学さんは、ゴーマンさんがファンタジーを売却したオランダのWulfinghoff社を訪ねます。しかし1976年にゴーマンさんからファンタジーを買い取ったポールさんは昨年亡くなっていて、詳しいことはわからないという話でした。当時のブリーダーの方もすでに辞めていて、しかもファンタジーは品種登録もされていませんでした。
竹下大学さんとロバートさん
Wulfinghoff社の現社長、ロバートさんから、ファンタジーの生みの親、ジョン・ゴーマンさん(残念ながら彼も2002年に94歳で亡くなっています)の息子であるボブ・ゴーマンさんにファンタジーの話が伝えられました。それを聞いたボブ・ゴーマンさんから竹下さんに送られたメールを簡単にまとめると以下の通りです。
・ファンタジーの親は特定できない。
・ファンタジーには、兄弟あるいは従兄弟と言える品種が3品種(コロナ、ダイアナ、ロマニー)存在した。
・ファンタジーを初めとするJohn Goemans氏が育成した4品種が、現代の多くの八重咲き品種にとってアダムとイブのような存在である。
また、ボブさんはジョンさんの追想記も送ってくれました。そこには輝かしい業績と共に、育種にすべてを捧げた一人のブリーダーの人生が書かれていました。
Dixメダル受賞のJohn Goemansさん(左)。植物の育種における抜きん出た功績に対してのみ特別に贈られる賞のことです。
さて、実はファンタジーという名前の付いたフリージアの球根は、現在もヨーロッパを中心に売られています。
ファンタジスタのハルキチさんはイタリアの業者を、おなじくすずめさんはイギリスの業者を見つけました。さらにファンタジーという名前の球根を販売している海外の業者が複数存在することが判明しました。
現在、それぞれの業者から球根を秋に購入してみんなで育てるというプロジェクトが進行中で、イタリアとイギリスの業者には、LinDioさんを中心としたファンタジスタ外国語班の英語、イタリア語の達人によって注文済みです。
「ファンタジー」とファンタジーの生みの親である「John Goemansさん」とのツーショット写真!!
つづく
ファンタジスタ 濱野奈美子(フリーライター)
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