あらすじ vol.1

それは、ジョン・レノンミュージアムの渡辺正利さんから柳生真吾さんに届いた一通の手紙から始まりました。2007年3月5日のことです。

「前略 大変ご無沙汰しております。」から始まるその手紙には、ひとつの謎が記されていました。

 

ジョン・レノンが5年という長い沈黙の後にリリースした、そして結果として最後の作品になってしまったアルバム「ダブル・ファンタジー」。このアルバムのタイトルは、彼が「バミューダ植物園」で見た花の名前からつけられている、とはファンには有名なエピソード。しかし、実際にそれがどんな花なのかは世界中の誰にもわからないのです…。 それを、柳生さんに探してほしい。というのが、渡辺さんの願いでした。

 

柳生さんはすぐに世界的に有名なナチュラリストの荻巣樹徳さんに連絡をとり、この話を伝えます。ほどなくして荻巣さんはこの花が「ファンタジー」という名前のフリージアであることを突き止めました。 しかし、アルバムタイトルは「ダブル・ファンタジー」で、「ファンタジー」ではありません。 荻巣さんはいいました。 「ダブル」は園芸用語で「八重咲き」という意味。だからいいんだ、と。バミューダ植物園の名札にはきっと英語で「八重咲きファンタジー」と書かれていたはず。それを読んでジョンはピンと来たのだよ。

 

これらのエピソード付きでファンタジーの写真が世の中に初めて発表されたのは、2007年12月8日(ジョンの命日)。場所はジョン・レノンミュージアム。柳生さんと いとうせいこうさんのトークショーで、でした。

 

つづく